効率的な収穫作業を目指して

    面積当たりの収穫量を増やすには・・・?
  • うね間、株間を狭めて栽植密度を上げれば良い。
  • しかし、生育後半には過繁茂となり収穫作業が困難になる。
  • 枝葉が十分伸びるように株間を広げると初期の収穫量が落ちる。
  • 初期収量を確保しながら生育後半の作業を効率化するには、側枝を間引く必要がある。
  • 側枝を間引くルールの一つとしての側枝切り戻し法

2013年(平成25年度)から品種を千両二号から梵天丸に変更しました。
JA十日町から関東方面に出荷されています。

生育後半の収穫作業の効率化を図る

 

草丈は約2m 2012年10月中旬の様子、草丈2m

昨年までのV字3本仕立ての側枝放任栽培では、9月を過ぎると草丈は2mを超え、枝葉が混み合い収穫作業は宝探しのようで収穫量はピークより減っても収穫作業の時間は増えてしまう状況でした。

 
 
果実が見える草姿にする

ひと目で果実の位置を把握できれば効率的な収穫作業が可能になります。
慣行の側枝放任栽培では株当たり12~13本の側枝が出ていました。
混合う側枝を間引く事で収穫作業の効率化を図ります。

    枝の数を少なくする事で・・・
  • 先端の摘芯が容易になるので草丈を低く保てる。
  • 葉数も減るので果実の視認性が高まり収穫が容易。
  • 誘引固定や摘葉の作業量が減る。
  • 通風採光が良くなり病気のリスクが少なくなる。
などのメリットがあげられます。
また、側枝を切り戻しわき芽に着果させるので下部~中部での収穫果が多く、上部の葉が日除けになるので「ヘタ焼け果」が少なくなります。

側枝1果取り切り戻し栽培の導入

H25年9月中旬の様子

株間70cmで6本仕立て。側枝1果どりで1芽残して切り戻しました。
草勢が弱く6本の基本枝を確保できない株、逆に強勢で2次側枝が混み合う株など見られたので、今後は株間60cmの4本仕立てを予定しています。

1.) 株間と主枝(基本枝)の数を決めます。

ナスの品種台木の種類、畑の地力などを基に決めます。
うね幅は2m前後が作業性が良いと思います。
株間は慣行を基準に苗や支柱などの資材を考慮して決めてください。
株間60cm~70cmでは4~6本、80cmでは6~8本に仕立てるのが適当でしょう。
V字で左右に振り分けるので基本枝の間隔は20~30cm程度になります。
強勢になる畑では少なく、弱勢な畑は多くするのが良いでしょう。

2.) 最初は2本か3本で仕立てます。
3本仕立て

生育初期は2~3本に仕立てます。
地際の側枝は弱い場合が多く、初期の過繁茂を避ける意味もあり主枝と1番果直下の1~2本で基本形をつくります。
その後しばらくは、全ての側枝を伸長させる事で初期収量を確保します。
誘引ヒモを35cmくらいの間隔で張り、テープナーなどで誘引固定します。

3.) 側枝の摘芯は7月から
切り戻し

8月を迎えると単価が下がる事が多いので7月中旬開花の側枝から摘心を始めます。
基本枝から出た側枝の開花果の先を1葉残して摘心します。
見分けが容易なので開花時の摘心作業がおすすめ。
収穫、誘引、側枝の元葉の摘葉と並行して行います。

基本枝以外の枝にナスが着果している場合は、果実の上に1葉残して摘芯します。
更に、その先に開花中の蕾がある場合は花の上に1葉残して摘芯します。

4.) 2芽残して切り戻し
摘心

一般には側枝から出る脇芽2本のうち、根元に近い1本を残し2本目の脇芽は切除します。これを整芽と言います。
手間がかかりますが、整芽をすることで果形の良いナスが取れるそうです。
露地の夏秋栽培では果形による単価の違いは少ないので脇芽の整理は必要ないと思います。
強勢で枝葉が混む場合は1芽残しにします。

収穫時に枝元の脇芽2つを残して切り戻します。
脇芽は伸長して2次側枝となり順次開花するので摘心&切り戻しを繰り返し行います。
参考:ナス省力的側枝管理法

切り戻し

5.) トップの摘心は、お盆前に

基本枝先端の摘心は8月上旬に通路から120cm前後の高さで行います。
一番高い位置の側枝1番果が150cm前後の高さとなるので、摘芯や収穫、切り戻しなどの管理が楽に出来ます。
作業者の肩口~目の高さで摘芯するのがよいです。
側枝切り戻し栽培では、草丈の下部1/3で全収量の半分くらいを取る感じなので下を向きながらの収穫が多くなり、目線より上に果実があっても目に入らない事があるので草丈は低めの方が良いでしょう。日光が株元まで入るメリットもあります。

6.) 9月になったら放任栽培
H25年9月17日の状況

10月末までの収穫予定なので9月上~中旬には摘心と切り戻しを止めます。
寒さに向かう時期で果実や茎葉の伸長も遅くなるので、側枝を切り戻して脇芽を伸ばすより、そのまま2番果、3番果を着果させた方が有利になってきます。
枝が混んだと感じたら弱い枝や着果の無い枝を切除しましょう。

7) そのほかの作業

草丈は約1.6m 2013年、10月下旬の様子、草丈1.6m

うねを含めて草丈150~160cmほどなので誘引ヒモを横に3~4本張り、基本枝を固定してください。
慣行より枝数が少ないので作業時間は半分で済みます。
収穫済みの果実より下の葉は不要なので摘葉します。側枝切り戻しと同時に行っても良いでしょう。