なす栽培

専業農家の栽培テク。家庭菜園でも役立ちます。

青枯病の二次感染予防

ポイント!

  • 一部の枝だけに、しおれ症状が出る...。
  • 2~3株連続でしおれる...。
  • 片側の枝だけが、連続してしおれる...。
  • こんな時は、青枯病の地上部伝染が起きてます。

2014年のナス栽培で青枯病が大発生しました。
7月末の大雨で湛水した部分から発生し、畑全体に拡大したようです。
最初は、うねの片側の一部の枝に、しおれ症状が現れたので、半身萎凋病と思っていました。『全身が、しおれるのは、青枯病。』で『一部の枝が、しおれるのは、半身萎凋病。』と認識していたからです。
昨年、畑を診た専門家から青枯病との診断をいただき、その時に初めて『地上感染した場合は、一部の枝にしおれ症状が現れる。』事と、『収穫や剪定作業時に、ハサミで伝染する。』ことを知りました。

地上部からの二次感染を予防する

ハサミによる伝染

青枯病は、主に土壌伝染すると考えられていましたが、発病株の枝などを切断後の病原菌が付着したハサミで、剪定や収穫作業を行うと高い確率で伝染する事が確認されています。
剪定作業で88%、収穫作業で7%の割合で伝染が起こり、その側枝と果梗からは、それぞれ100%と50%の割合で菌が検出されました。
特に、雨天時は乾かないので、伝染が起こりやすく注意が必要です。
一旦、ハサミに菌が付着すると次の株、次の株と連続して5株以上に感染させる事が可能なので、発病が疑われる株は早めに枝葉を切除し畑の外で焼却か埋設で処理するか、作業の最後に触れるようにしましょう。

土壌消毒や接木苗でも青枯病の発生を完全に抑える事は困難ですが、二次感染を予防する事で被害を最小限に抑える事ができます。
地下部の伝染予防は非常に難しいですが、地上部の予防はハサミを消毒する事で出来ます。
病害未発生の畑では1日の作業終了後に消毒すれば問題ないと思いますが、前年多発した畑では栽培初期から1株ごとに消毒を行いましょう。

ハサミの消毒方法-薬剤-

薬剤の選定、希釈倍率と貯蔵方法

細菌病の散布薬や種子消毒薬の中で、次亜塩素酸カルシウム50~100倍、ストレプトマイシン水和剤100倍、エタノール70%が、剪定用ハサミの消毒剤として有望です。
特に、次亜塩素酸カルシウム商品名:ケミクロンGは、低濃度でも効果が高いようです。
農業資材や用水の消毒薬として普及しており、比較的安価なのでおすすめです。

ケミクロンGの100倍液、1秒間浸漬で十分な効果が証明されていますが、日光に晒されると有効成分である塩素が分解されてしまうのでご注意ください。
50倍液を室内と屋外に分けて保管し、4時間後の薬液で消毒効果の試験をすると、室内保管で効果が僅かに低下、屋外の直射日光下では、顕著に低下してしまう事がわかりました。
塩素の分解を考慮して日光下では、4時間ごとに薬液を交換しましょう。

ハサミを使うたびに薬液を希釈するのは面倒なので、1週間分まとめて作ります。
長期貯蔵には暗黒状態が有効で『50倍液を黒褐色のビンに密閉して光を通さない箱に入れ、常温保存した実験で14日間消毒効果が持続した。』とされています。なので希釈液は暗黒条件で保存しましょう。スプレーに詰めて刃先に噴霧したり、ビンに入れて浸漬処理をします。
ケミクロンGは強力な酸化剤です。金属製のハサミは錆びてしまうので、作業後は水で良く洗い流しましょう。

自動除菌ハサミの利用

キュウリやメロンなど瓜類では、ウイルス病は大敵です。
樹液伝染するのでハサミやカッターの殺菌は必須になってます。消毒液にその都度ハサミを浸しての剪定、収穫作業は面倒なものです。そんな声を反映して自動的に除菌殺菌できるハサミが販売されています。
薬液を使って殺菌消毒する製品で、商品名『ハサップアクアシザーズ』が、4,500円前後で購入できます。(販売終了 下記参照)
『ハサップアクア』という専用除菌液のほか、ケミクロンG、エタノール等も使えます。
本体は、プラスチック製で刃先に細かいギザギザが付いています。強度的に不安な部分もあり、太い枝を切ると刃こぼれを起こしたり、強く握るとボトルが破損したりするのでご注意ください。使用前にビニールテープなどでボトルを補強しましょう。アルミホイル等で包むとケミクロンGの光分解を抑える効果があると思います。

ハサミを握る度に、ボトルが押され奥の穴から薬液がにじみ出て刃先を殺菌消毒します。
刃先を軽く振る、ハサミを握るなどして薬液が刃先に流れる事を確認してから作業を始めます。

上記商品「ハサップアクアシザーズ」は、販売終了したようです。
V-カットハサミカセット付きカットハサミの商品名で同種の製品が販売されています。


ボトルから刃先へ通じる穴

刃のV字型の溝に薬液がにじみ出る

昨年購入して使ってみましたが、既に病気が広がっていたので予防効果は実感出来ませんでしたが、栽培初期から剪定や収穫に使用することで地上感染を防げると考えています。

熱を利用するタイプの消毒ハサミも開発されています。
熱バサミは、ガスや触媒など消耗品が多く、高価であり、雨天に使えないのがネックです。
農業ビジネスこちらのページで紹介されています。


このページは、
『促成栽培ナスの青枯病の発生生態と防除に関する研究』を参考にしています。