割接ぎ法によるナスの接木
- 土壌病害の回避と収穫量増加が可能な接木苗を育てる。
- 台木穂木とも数日前から水を控え茎を硬く仕上げます。
- 作業は晴天で無風な日が良い。
- 養生には温度が必要なので晴天が続く時期に作業をします。
なす割接ぎは、接木の基本形です。
カミソリと7号の輪ゴムがあればできるので、資材費が安く済みます。
土壌病害の回避と収穫量の増加を目的に接木を行います。
当園では30年前から接木苗の生産をしています。
当時の技術は、輪ゴム止めの割接ぎでした。
台木の部分が長く抵抗性が高く確保できる事と定植時に穂木が土に触れずに済むので、現在も続けています。
現在は、幼苗接木が主流ですが、台木の高さが足りないので耐病抵抗性が落ちる傾向にあります。更に植付け時に接木部分を埋めてしまう場合もあり、接木苗の能力が発揮されないまま枯れてしまう事もあります。
台木は、フィルターのような仕組みで病原菌を防御している事が知られています。
耐病性は台木部分が長ければ長いほど高まるので、青枯病が多発するナス産地では台木の能力が十分発揮できる【高接木苗】(たかつぎきなえ)が注目されています。
割接ぎの場合、台木苗を高温で管理することで10cm前後の高さ(長さ)を確保できるので容易に高接木苗の生産が出来ます。
トルバム系の台木は割接ぎでは、活着が悪いので歩留まりが落ちますが、青枯抵抗性の強い台太郎や台三郎は活着が良いので歩留まりが高く、接木後10~14日ほどで通常管理に戻せます。
5月中旬定植予定の場合。
台木の台太郎は、2月5日頃に播種。3月12日頃に7.5cmポットに移植します。
7.5cmで小さすぎる場合は、9cmや10.5cmポットに移植します。
節間が長く、茎が太い方が作業性が良いので、移植後の地温、気温は高めに管理しましょう。
移植後1カ月で本葉5枚前後が割接ぎ作業の適期です。
穂木の千両二号なすは、台木の1週間後の2月12日頃に播種し3月15日頃、6cm程度の厚さに培土をいれた平床に5cm間隔で植え、本葉5~6枚になる4月10日頃に地際で切り取り接木をします。
本数が少ない場合は、穂木もポットに植えます。台木と混ざらないようにラベルや印をつけましょう。
穂木はコンパクトで締まった苗が良いので接木前の2週間は、温度低め、土壌水分も少なめに管理します。
割り接木 手順
接木作業後に入れる養生床は前日までに温度と湿度を調整し準備しておきます。
道具は、カミソリ(カッター)、7号輪ゴム、葦(よし)をご用意ください。日よけのヨシズを分解すれば入手出来ます。
硬めのストローやチューブなど台木の軸より少し太くて硬い材質で中が凹んでいる物で代用可能です。
接木用クリップやテープでも固定出来ます。
台木は高さ5cmほどで葉柄の節の下を真横に切ります。
断面は楕円形になっているので長辺方向に深さ1.5cmほど切込みを入れます。
ヨシの茎を使い輪ゴムを装着します。10㎝ほどに切ったヨシの棒に6号か7号の輪ゴムを3重に巻き付けた道具を用意します。
切った台木の軸に被せて、輪ゴムを指先でシゴいて移動させて台木に装着します。
穂木は2.5枚ほど葉を残して茎をクサビに削ります。
削る長さは1.5㎝ほどで台木の深さに合わせます。良く切れるカミソリやカッターナイフを用意し、1回で真直ぐ切った方が断面が滑らかなので活着が速く、活着率も上がります。
接木完了後は速やかに養生床に入れ、適温、適湿で管理します。