原因と対策 発病した茎葉は畑の外へ出しましょう。

ナス半身萎凋病

  • 病原菌を持ち込まない。
  • 症状が出た枝葉は、速やかに切除して畑の外に持ち出し焼却や埋設で処分する。
  • 緑肥や良質な堆肥などを施用する事で土壌中の細菌相を複雑化し抗菌静菌作用を高める。
  • 発生軽度のうちに土壌消毒、湛水処理などで菌核を減らすように務める。

なす半身萎凋病の対策は、抵抗性台木の導入が基本です。
トルバム系の台木で、ほぼ満足できる結果がえられますが、台木の力のみでは、越えられない壁もあります。
畑の菌密度を上げないことが重要です。

 

長年ナス栽培を続けてきましたが、大きな問題が半身萎凋病です。

梅雨時や秋の長雨など曇天が続き少し寒いような気温で、枝葉が半分黄化して萎れるのが半身萎凋病です。
初め植物体片側の下位葉で、片側の葉脈間に、周縁の不鮮明な淡黄色斑が現れ、しおれて葉縁が上方に軽く巻き上がるものが現れます。
この症状はやがて葉の全体に及び、次第に上位葉にも及び、典型的な場合には、株の片側の葉がことごとくしおれて垂れ下がります。
さらに病勢が進むと、株全体の葉がしおれて枯死する場合があります。

病原菌はどこから来るのか?

病原菌Verticillium dahliae(バーティシリウム ダーリエ)は菌核 を形成して土壌中に生存しています。
長靴やトラクターについた泥。病原菌に汚染した種子や種苗。
強風や豪雨などによる汚染土壌の移動などが病原菌の伝染経路になります。
耕うん 作業は病害の無い畑から始め、土を落としてから次の畑へ移動をしましょう。

病害発生と増殖のメカニズム

病原菌は、土壌中で菌核 を形成しています。
菌核は3年以上生存します。
そこにナスの根が1mm以内に近づくと発芽して感染が起こります。
病原菌は根から導管内に侵入し分生胞子をつくり導管を伝って植物体の上部へ移動します。
分枝部、葉柄 、葉身の基部などの導管が密に分布している部分に定着して導管を塞ぐので半身萎凋病の症状を示すようになります。
その後、落葉した葉や枯死した枝葉の中で菌核を形成して、再び土壌中に埋没、翌年の感染源となります。
以上のことから病害防除の為には、発病した茎葉は、速やかに畑の外に持ち出す事が重要になります。
病原菌の密度と発病には正の相関関係があり、菌核密度が高くなるほど発病率が高くなります。

菌核の密度を下げる方法

1.) 薬剤による土壌消毒

薬剤はガスタードやクロルピクリンなどがあります。
ガスタード微粒剤の場合は、定植21日以上前に耕耘砕土整地した畑10a当たり20kgを散布しロータリーで土と薬剤を混和します。 水分と反応してガスが発生するのでビニールで被覆するかタイヤ等で鎮圧後散水します。
しばらく放置し7~10日後ガス抜きに耕起します。
参考 ガスタード解説
クロルピクリンテープの場合は、通常の耕耘、施肥、うね立て後に整形して90cm間隔でテープを設置します。 マルチを張り10日以上放置してガスが抜けてから播種、定植します。
参考 クロルピクリンテープ

2.) 土壌還元消毒

土壌還元消毒法とは...?
太陽熱消毒と水、糖蜜や米ぬか等の有機物を組み合わせた消毒法です。
土壌に糖蜜や米ぬかを混和後、湛水状態にすると微生物が急速に増殖します。
微生物が酸素を消費して無酸素状態となり土壌は還元状態になりドブ臭がしてきます。
多くの土壌病害虫は酸素を必要とするので還元化する事で死滅します。
米ぬかは、1アールに100kg散布。できるだけ深耕します。

参考 土壌還元消毒方法 参考 土壌消毒の費用と効果