- 青枯病の地上部伝染を抑える。
- 初期から剪定や収穫に除菌バサミを使用する。
- 発生を確認した株は切取って処理する。
前年の2014年ナス栽培では、青枯病が大発生。
前々年にも青枯れが多発し2年連続で大きな被害となりました。
畑は3か所に分かれて約25アールありますが、5月中旬に約2,000株の接木梵天丸苗(台太郎台木)を定植して順調に生育していましたが、7月末に大雨が降り長時間水が溜まりました。その後、徐々に枯れはじめ9月末には、ほぼ全滅状態でした。
枯れて収穫不能なった畑から順に株を抜き、外に持ち出して収穫終了後、ガスタードで土壌消毒を行いました。
青枯病が出なかった畑は、畦の通路にモミ殻を2~3cm敷詰め分解促進に米ぬかと石灰窒素
を撒いて畑の中で堆肥化を試みました。
翌年の栽培に大きな不安を抱えたまま栽培を終了しました。
青枯病が大発生した翌年の栽培
2年連続で青枯病が大発生して、前年の件もあり土壌消毒の効果も半信半疑の中で2015年の栽培をスタートしました。
以前は大量に鶏ふんを施していましたが、土壌診断 の結果を受けて最近は窒素(N)単肥に切り替えていました。
本年は、窒素分の半量を鶏ふんで賄う肥料設計にしてみました。
2).台三郎台木は、台太郎以上の青枯抵抗性を持つ台木として紹介されていたので試験的に導入してみました。
台太郎と比較して、青枯病抵抗性は同程度な印象ですが、草勢が若干強い感じがあります。
夏秋栽培では草勢が強い事は、メリットになるので今後も継続して使用の予定です。
3).ナス青枯病予防薬 バリダシン液剤5 に関しては、定植の7日後から10日間隔で全面に散布したので効果の比較は、できませんでした。予防効果や発病遅延効果は実証されているので今後も継続して使用したいと思います。
4).除菌ハサミについては、以下にまとめます。
自動除菌ハサミを使用した感想
Vカットハサミやカセット付カットハサミと呼ばれる製品です。
ハサミと一緒に購入できる消毒薬でも効果はあると思いますが、費用対効果を考慮してケミクロンGの50倍希釈を使用しました。
使用上の注意としては、
- 消毒液が衣服に付着すると脱色します。(塩素系漂白剤と同じような成分です。)
- 使用後、放置すると酸化して刃に白いカスが付きます。(よく水洗いして、水分を切りサビ止めに油を塗りましょう。)
- グリップから刃へ通じる穴が、塩素のカスで塞がるのでエアーダスターやパーツクリーナーで時々ケアしましょう。
- 普通の収穫ハサミに比べて、購入価格が高いのがネックです。
ナスの枝は硬いので、切戻しせん定すると刃の支軸(カシメ)部分に負荷が掛り、左右の刃に隙間が出来てしまいます。調整が出来ない構造なので、隙間が大きくなったら買換えです。
使用状況にもよりますが、
栽培期間中(6月~10月)ひとり2本必要です。
刃の隙間が広がると薬剤が漏れてきます。バネが折れる事もあるので交換部品が必要です。
除菌ハサミの効果
前年の2014年8月23日
畑の隅の病害株からハサミにより連続感染したと考えられます。
除菌ハサミ使用の2015年8月2日
お盆までは高温乾燥気味の天候でした。この畑の青枯病は、700株中2株でした。
2014年9月6日
元水田でしたが、その後10年ほど大豆畑でした。初めてナスを作ったところ青枯病が大発生。大豆の生育が悪かったのも青枯病の細菌のせいだったのでしょうか?。
除菌ハサミ使用の2015年8月23日
青枯病は、300株中1株の発生を確認しました。
まとめ
2015年も接木梵天丸苗を約2,000株、5月20~23日で定植しました。
台木を台太郎から台三郎に変更。
半身萎凋病の多発圃場にはトナシム台木を導入しました。
トナシム台木の梵天丸苗は、地温気温が十分上昇してからの定植が有効ときいたので5月28日の定植になりました。
7月末に例年通りの梅雨による長雨があり、雨水の停滞した部分から青枯病が発症。
大発生した2014年と同じような経過でしたが、片側だけの連続した発症が見られない事から、畑の水分過多や排水不良で根が弱ったことによる土壌感染と判断しました。
梅雨時の青枯病は、「しおれ症状」の発見が難しいので、早朝の収穫時にハサミを入れてしまう事もありましたが、除菌バサミの効果で収穫作業による感染は回避できたと考えています。
9月末までに50株ほど青枯病の発生を確認しました。(排水不良な部分で発生)
2,000株中の50株なので昨年、一昨年と比較すると大変良い結果が得られました。
「自動除菌ハサミは、青枯病の地上感染の予防に効果がある。」と言えます。
除菌ハサミを使わずとも、発症を早期に発見して、マーキングし、その株に触れないように注意すれば、同程度の感染予防が可能と思われますが、不用意に発病株を切ってしまった場面でも、感染リスクが小さく済む安心感があるので、今後も継続して使用する予定です。
2015年の調査で「青枯細菌と半身萎凋菌核の両方が、高い密度で土中に存在している。」との結果を頂きました。
今後も土壌病害対策が必要になりそうです。